
樹まり子
樹まり子
【バブルの寵児か、業界の救世主か ― 刹那の輝きと消えぬ伝説】
90年代初頭、AV界に彗星のごとく現れ、瞬く間にトップへと駆け上がった伝説の女優、樹まり子。
学生時代に「青木さえ子」として鮮烈なデビューを飾り、その類まれなる美貌と圧倒的な存在感で一世を風靡しました。
しかし、その輝かしいキャリアは、度重なる活動休止というミステリアスなベールに包まれています。
今回は、バブル経済の狂騒の中で咲き誇り、そして儚くも姿を消した彼女の、短くも濃密な女優人生と、今なお語り継がれる伝説に迫っていきます。
【完璧なプロポーションと衝撃のデビュー】
1970年、埼玉県に生まれた樹まり子(旧名義:青木さえ子)。
身長160cmという当時としては高身長に、B86・W60・H89という、まさに完璧と呼ぶにふさわしいプロポーション。
特に、その美しい形をしたバストは「美乳」と称賛され、多くの男性ファンを虜にしました。
平成初期において「巨乳」と評されるほどの豊満さと、ほどよく肉感的なヒップが織りなすシルエットは、現代においても間違いなくトップクラスの人気を博すであろう、時代を超えた魅力を放っていました。
彼女のデビューは、まさに衝撃的でした。
1989年、バブル経済が頂点を迎えようとしていた時代、現役大学生でありながら「青木さえ子」名義でAV界に足を踏み入れます。
特筆すべきは、デビュー作をいきなり3本同時にリリースするという異例のプロモーション。
これは、松坂季実子さんらを擁し、当時隆盛を誇ったアダルトメーカー「ダイヤモンド映像」によるもので、彼女への期待の大きさを物語っています。
【トップ女優への階段と最初の活動休止】
「巨乳」「淫乱」といったセンセーショナルなキーワードと共に人気は急上昇し、芸名を「樹まり子」に改め、活躍の場をAVだけでなく成人映画にも広げていきます。
デビューからわずか1年で出演作は50本を超え、まさに破竹の勢い。
成人雑誌「オレンジ通信」の企画「AVアイドルBEST 10」で1位を獲得するなど、その人気は疑いようのないものでした。
しかし、人気絶頂の最中であった1990年、彼女は突如として活動を休止します。
その理由は明らかにされていませんが、休止期間中は雑誌のコラム執筆やインタビュアーとして活動していたことから、AV業界から一度距離を置きたかったのかもしれません。
【業界の危機に立ち上がった「救世主」としての再臨】
2年間の沈黙を破り、樹まり子はAV業界に復帰します。
しかし、彼女が離れていた間に業界の景気は大きく後退していました。
「トップAV女優であった自分が復帰して、AV業界が盛り上がるのなら」という想いから、彼女は業界の再興を願い、一肌脱ぐ決意をします。
芸名を「樹マリ子」(まり子からマリ子へ)と変え、ファンの前に再び姿を現しました。
復帰の際の契約金は、6本の出演で3000万円という当時では破格の金額。
2年間のブランクがあったにも関わらず、この報酬額は彼女の圧倒的な人気と価値を如実に示しています。
復帰後の「樹マリ子」名義での出演作は、単体・共演合わせて約30本にのぼりました。
【二度目の休止、そして永遠の伝説へ】
業界の期待を一身に背負い、再びトップシーンで活躍した樹まり子。
しかし、業界の不景気は彼女一人の力で好転させるにはあまりにも深刻でした。
そして1994年、活動再開からわずか2年で、彼女は再びAV業界から姿を消し、事実上の引退状態となります。
活動期間は約4年と短く、その間に2度の活動休止を挟むという慌ただしいものでしたが、総出演本数は「青木さえ子」名義と合わせて約80本。
その一本一本が、彼女のカリスマ性を物語っています。
【SNSなき時代のリアルと、色褪せぬファンの想い】
彼女が活動していた時代は携帯電話も普及しておらず、TwitterやInstagramといったSNSも存在しませんでした。
そのため、当時の彼女のプライベートな姿を垣間見ることは困難です。
しかし、引退から20年以上が経過した現在でもSNS上では多くのファンが彼女の名前を挙げ、その活躍を懐かしんでいます。
「心のアイドル」「テープが擦り切れるほど見た」といった言葉は、彼女がいかに多くの人々の記憶に鮮烈な印象を残したかを物語っています。
【伝説の男優との秘められた恋】
樹まり子のミステリアスな魅力は、プライベートにも及びます。
1990年の最初の活動休止期間中、彼女は伝説のAV男優、加藤鷹と交際していました。
出演作1万5千本以上、「ゴールドフィンガー」の異名を持つトップ男優とのロマンスは、当時大きな話題となり、様々な憶測を呼びました。
加藤鷹さん自身が夕刊フジの取材に対し「好きでもない女のマ〇コを舐めたくない」「現場に行くのがいやになった」と語った言葉からは、樹まり子さんへの深い愛情がうかがえます。
結婚には至らなかったものの、同棲し事実婚のような状態だったといい、トップスター同士の激しくも純粋な愛の物語は、彼女の伝説にさらなる彩りを添えています。
【永遠に語り継がれる、刹那の輝き】
バブル経済という特異な時代背景の中、彗星のごとく現れ、その美貌とカリスマ性で一時代を築き上げた女優 樹まり子。
活動期間の短さ、度重なる休止、そして伝説の男優との恋。
彼女のキャリアは謎とドラマに満ちています。
復帰を待ち望む声は今も絶えませんが、その姿を再び見ることは叶わないのかもしれません。
しかし、彼女が放った刹那の輝きは、多くのファンの心に永遠に刻まれ、これからも語り継がれていくことでしょう。
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